日々、患者さんの鍼灸治療をしていると、こういう声が聞かれることが多いんです。
「最近疲れが取れない」
「昼間も眠い」
「手足が冷たくてねぇ。。」
こういうお話を聞くと、私は先ず、「気虚(ききょ)」という症状ではないだろうか?と考えるんです。東洋医学に興味のある方は「気虚」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、
「気虚(ききょ)」とは、東洋医学でからだを動かすエネルギー「気」が不足している状態のこと。
なんです。
先ほどの、「最近疲れが取れない」「昼間も眠い」と感じている方は、気虚のサインかもしれません。
次のチェックリストで、自分の体調をチェックしてみてください。
こんな症状ありませんか?
いくつ当てはまりましたか?これらはすべて、「気」が不足しているときに出やすいサインです。
この「気」の不足とはどういう状態なのか?、東洋医学では次のように考えています。
気のはたらきとは?
東洋医学では、「気」は体を動かす根本のエネルギーと考えます。気には主に3つの働きがあります。
①体を動かす力
気が充分にあると、カラダを動かすエネルギーが満ちている状態と考えられています。逆に、気が不足すると、疲れやすく、カラダがだるく感じます。
②体を温める力
気には体を温める働きもあります。気が不足する(気虚:ききょ)になると、この温める力が足りなくなり、冷えやすくなります。
③体を守る力
気は外からの邪気(寒さやウイルスなど)を防ぐバリアのような役割も持っています。気虚になると、このバリアが弱くなり、風邪をひきやすくなります。

臨床でも、気虚っぽいなと感じる患者さんの多くは、風邪をひきやすい方が多いように思います。
エネルギー不足になると、
カラダを動かすのは辛いし、
動かないと熱が発生しない、
守る力も不足して外から風邪に侵入されやすい。
こんな悪循環に陥りやすくなるからだと、私は考えてます。

なぜ気虚になるの?
では、なぜ気虚になるのでしょうか?
気虚の主な原因は、気を作る働きをしている「脾(ひ)」の弱りです。
脾は食べ物を消化・吸収して気を作り出す臓。
脾の力が弱ると、消化力が弱まるので、食べ物を食べても消化がされにくくなり、気が充分に作れなくなると考えられています。

患者さんの中には、気虚の自覚症状はないのに、「最近、胃の調子が悪い」という方がいらっしゃいます。実は気が消耗していて、消化力が落ちているケースが多いです。頑張る時はしっかり食べて精をつけようと思いがちですが、頑張り過ぎてると気が消耗するので、胃もたれが起こりやすいんですよね…
現代の生活習慣の中にも気虚を招きやすい要因がいくつかあります。
心当たりがある方は、食生活や睡眠などを見直す機会かもしれません。
今日からできるセルフケア
気を補うツボ
気を補い、脾を助ける2つのツボです。息を吐きながらじんわり5秒×3セットを目安に押してみてください。
①関元(かんげん)
場所:おへそから指4本分下がったところ。
気の根本を補う代表的なツボ。お灸でじっくり温めるのに特に向いています。気虚の根本的なエネルギー不足にアプローチできます。


冬の寒い時期はおへその下あたりに、シャツの上からカイロを貼るのがおすすめです。
②足三里(あしさんり)|脾胃を整える
場所:脾是のお皿の外側のくぼみから、指4本分下がったところ。
脾胃を整えて、気を作る力を助けてくれます。古くから「疲れたら足三里」と言われるほど、体全体を元気にしてくれるツボです。


大学受験を控えた受験生さんが、”朝起きられない”、”食欲がない”、”頭が痛い”という症状で見えたことがありました。受験前で、睡眠不足・過労に加えて、受験のプレッシャーもあったのだと思います。気力も体力も消耗して、気虚(気血両虚)の要因満載でした。もちろん、今回ご紹介したツボも使いましたよ。
養生ごはん|スーパーで整える
イモ類
山芋・里芋・じゃがいもなど。脾を補い、気を作る力を助けてくれます。
肉類
鶏肉・豚肉など。気血を補ってくれる代表的な食材です。
豚肉はビタミンB1も豊富で、疲労回復にも◎。しっかり嚙んで、消化できる量を食べることがポイントです
豆類
大豆・豆腐・納豆など。脾を補い、気を補う働きがあります。
大豆はタンパク質が豊富で、気血を補う代表的な食材です。「畑の肉」と呼ばれるほど栄養価が高く、肉を選びたくない日でも気を補えるのが嬉しいポイントです
「なんとなく調子が出ない。整えたいな。」と感じた時には、お粥や雑炊はどうでしょうか?
日本でお粥というと味気がないイメージですが、先日、香港で朝食にいただいたお粥は、出汁がしっかり効いていて、お粥ってこんなにおいしいのかと驚いたほどです。
疲れているときに作るのも面倒ですが、雑炊の素などを使えば簡単雑炊の出来上がり。黒い食べ物は気を補ってくれるので、上から黒ごまをパラパラかけて立派な養生ごはん。簡単でしょう?

気を補うための経絡ヨガ
合隻(がっせき)のポーズ
足の裏を合わせてお膝を左右に倒すだけのポーズ。力づくで膝を倒さず、足の重みに任せます。
足の内側には脾経の経絡が走ります。ハムストリングがじんわり伸びているのを感じられればOK。辛いときは無理せずに、クッションなどを挟んで。

仰向けの英雄のポーズ
割り座で仰向けで寝るだけのポーズ。できる方は、両腕を頭の下に組むと、胸が開いてお腹が伸びる感じになり、お腹にさらに刺激が入ります。
割り座の仰向けなんてできない!という方もご安心を。横に寝て片方ずつ太ももを伸ばしてもらえば大丈夫です。

動いた方が良いとわかっていても、「時間が取れない」、「人目が気になる」、「一人ではなかなか続かない。」「その場所に行くのが億劫」という方もいらっしゃいます。
そんな方のために、オンラインクラスの提案です。

私も以前、鍼灸と併用しながら、人目を気にせず少しずつ動いていただくために、オンラインクラスを開催していた時期があります。
今は、自宅で好きな時にできるオンラインクラスもたくさんあるので、利用されてみるのも良いと思いますよ。
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まとめ
気虚は、カラダを動かすエネルギー「気」が不足している状態。疲れやすさ、冷え、風邪をひきやすいなどのサインとして現れます。
頑張り過ぎているとき、気は静かに消耗していきます。「最近なんだか元気が出ない」と感じたら、それはカラダからの大切なサインです。
ツボや食事で気を補うことと併せて、少しずつカラダを動かすことも、気を巡らせる助けになります。無理せず、少しずつ整えていきましょう。
未来のカラダは、今日の小さな積み重ねから。

