久しぶりにデニムを履いてみたら、
「あれ?なんかきつい……」
体重を量ってみても、それほど増えていない。
なのに、お腹まわりは前よりもぽってりして、以前は普通に履けていたデニムがきつくなっている。
40代・50代になって、そんな体型の変化を感じることはありませんか?
実は私も最近、まさにこれを経験しました。
春は難なく履けていたデニムが、夏の今、ちょっと無理して履いているレベル。
暑さを回避するために、通気性の良いゆったりしたパンツを選んでいたから、体まで緩んでしまったのでしょうか。
体重は変わらないのに、なぜ体型だけ変わるのでしょうか?
「更年期だから代謝が落ちたのかな?」と思ってしまいますが、どうやらそれだけではなさそうです。
今回は、40代・50代になると体重がそれほど変わらなくても体型が変化しやすい理由と、これからできることを一緒に考えてみましょう。
体重が変わらなくても、体型は変わる?
「体重が増えていないなら、太っていないはず」
そう思いたくなりますが、実は体重が同じでも体型が変わることはあります。
私たちの体重は、脂肪だけでなく、筋肉や骨、水分などをすべて合わせた数字です。
例えば、以前より筋肉量が減り、その分、体脂肪が増えたとしても、体重そのものはほとんど変わらないことがあります。
筋肉は体を引き締めて支えてくれますが、筋肉量が減ると、お腹や腰まわりのラインにも変化が現れやすくなります。
さらに40代・50代になると、もう一つ気になるのが「脂肪のつく場所」の変化です。
若い頃とは違い、更年期以降はお腹まわりにつきやすくなる傾向があります。
つまり、
体重はほとんど同じ。なのにウエストはきつい。
そんなことが起こっても不思議ではないのです。
では、なぜ40代・50代になると、脂肪のつき方まで変わってくるのでしょうか?
その一つに、女性ホルモン(エストロゲン)の変化が関係しています。
更年期になると、お腹に脂肪がつきやすくなる?
40代・50代になると、
「昔は脚やお尻につきやすかったのに、最近はお腹ばかり気になる」
そんな変化を感じる方もいるのではないでしょうか。
その理由の一つとして考えられるのが、女性ホルモン(エストロゲン)の減少です。
エストロゲンは生理や妊娠だけに関わるホルモンではなく、脂質の代謝や脂肪のつき方にも関係しています。
更年期になりエストロゲンが減少すると、それまで女性につきやすかった皮下脂肪中心の体型から、お腹まわりに内臓脂肪がつきやすい体型へ変化する傾向があります。
さらに、エストロゲンの減少によって体内の炎症を抑える働きが弱まると、インスリンが効きにくくなり、糖や脂肪をため込みやすい状態につながることもあります。
また、腸内細菌のバランスが変化することや、筋肉の維持や修復に関わる働きが弱くなり、筋肉量が減りやすくなることも分かってきています。
つまり、更年期の体型変化は、
「代謝が落ちたから」の一言では片づけられない。
女性ホルモンの変化に、筋肉量や活動量、食生活などさまざまな要因が重なって、少しずつ体の中身や脂肪のつき方が変化していくのです。
だからこそ、
「体重は変わらないのに、デニムがきつい」
という七不思議も起こり得るわけです。
40代・50代は、体重だけではなく「体の中身」にも目を向けたい時期なのです。
昔と同じように食べているのに太るのは、代謝が落ちたから?
「昔はこれくらい食べても平気だったのに……」
40代・50代になると、そんなふうに感じることはありませんか?
確かに、年齢とともに基礎代謝は少しずつ低下していきます。しかし、「更年期になったから急に代謝がガクンと落ちる」というほど単純な話ではありません。
大きく関係するのが、先ほども触れた筋肉量の変化です。
筋肉は、じっとしているときにもエネルギーを使っています。そのため、筋肉量が減れば、1日に消費するエネルギーも少なくなります。
さらに、40代・50代になると、仕事や生活環境の変化などから、以前より歩く時間や体を動かす機会が減っていることもあります。
つまり、
食べる量は昔とそれほど変わらない。
でも、使うエネルギーは少しずつ減っている。
この小さな差が積み重なることで、体重には大きく現れなくても、体脂肪が増えたり、お腹まわりの変化として現れたりすることがあります。
だからといって、食事を極端に減らすのはおすすめできません。
筋肉を維持するためには、たんぱく質をはじめとした栄養も必要です。
40代・50代の体型管理では、「食べない」よりも、「何を食べて、どう動くか」を見直すことが大切になってきます。
養生ごはん|今日から始める体づくり
体型が気になり始めると、つい「食べる量を減らさなくちゃ」と考えてしまいます。
でも、40代・50代は筋肉を落とさないことも大切な時期。食べないことよりも、何を選んで食べるかを意識してみましょう。
毎食たんぱく質を意識する
筋肉の材料になるのは、たんぱく質です。
肉や魚、卵、大豆製品など、動物性・植物性にこだわりすぎず、毎食少しずつ取り入れることを意識してみてください。
私はゆで卵を常備しておいて、「今日はたんぱく質が少ないな」と感じたときに、すぐ食べられるようにしています。
特別なことをするよりも、続けられる工夫を一つ持っておくと便利です。
脂質を避けるより、魚を取り入れる
体型が気になると、脂質もできるだけ避けたくなりますが、脂質もカラダに必要な栄養素です。
大切なのは、すべての脂質を避けるのではなく、どんな脂質を選ぶか。
最近、私は意識して魚を食べるようにしています。よく食べるのはサバ、鮭、鯛。
魚は良質なたんぱく質を摂れるだけでなく、特にサバや鮭にはEPAやDHAといったオメガ3脂肪酸も含まれています。
そして、この3つは東洋医学でも身近な養生食材です。
鮭 → 脾胃を温めて整え、気血を補う食材。冷えや食欲が落ちているときにも取り入れやすい魚です。
サバ → 気を補い、胃腸の働きを助けると考えられています。疲れやすいときの食卓にも。
鯛 → 脾胃を整え、気を補う食材。高たんぱくで脂質が比較的少ないのもうれしいところです。
「脂を減らさなくちゃ」と考えるより、肉料理の一部を魚料理に替えてみる。
そんな小さな工夫なら、毎日の食卓にも取り入れやすいのではないでしょうか。
野菜は「楽しく」取り入れる
野菜をしっかり摂ることも大切ですが、「食べなくちゃ」が義務になると、なかなか続きません。
最近は、生春巻きやピコ・デ・ガヨ風のサラダなど、見た目にも楽しいものを作るようにしています。
いつもの野菜でも、切り方や味付けを少し変えるだけで食卓の雰囲気は変わります。
「体にいいから食べる」だけではなく、「食べたいから食べる」。
そんな工夫も、無理なく続けるための養生の一つだと思っています。
おやつは我慢するより、選んで楽しむ
体型を整えたいからといって、おやつをすべて我慢する必要はありません。
甘いものが欲しいときには、ナッツや無糖ヨーグルト、ベリーなどを取り入れてみるのも一つの方法です。
私は以前、ナッツやカカオ、デーツなどを使ったロースイーツを趣味で作っていました。
「甘いものはダメ」と禁止するのではなく、何を使って作られているのかを見ながら選んで楽しむ。
これなら、長く続けられそうな気がしませんか?
大豆製品も上手に取り入れる
更年期の食事でもう一つ取り入れたいのが、豆腐や納豆、豆乳などの大豆製品です。
大豆に含まれる「大豆イソフラボン」は、女性ホルモン(エストロゲン)と似た構造を持ち、体内でエストロゲンに似た働きをすることが知られています。
さらに、大豆イソフラボンの一種である「ダイゼイン」は、腸内細菌によって「エクオール」という成分に変えられることがあります。
ただし、誰でもエクオールを作れるわけではありません。
日本人でエクオールを作ることができる人は、およそ半数といわれています。
「私は大豆製品を食べているけれど、エクオールを作れているのかな?」
実は、これは体調や見た目だけでは分かりません。
自分がエクオールを作れるタイプなのかは、自宅でできる検査で調べることもできます。
更年期だからといって特別なものばかり食べるのではなく、豆腐や納豆など、身近な食品を毎日の食卓に少しずつ取り入れてみるのもいいですね。
体重を減らすより、筋肉を取り戻す
体重はそれほど変わっていないのに、以前よりお腹まわりが気になる。
そんなとき、「もっと食事を減らさなくちゃ」と考える前に、もう一つ意識したいのが筋肉を減らさないことです。
先ほどお話ししたように、更年期はエストロゲンの変化や加齢などが重なり、筋肉量が減りやすくなる時期でもあります。
だからこそ、食事を極端に減らして体重だけを落とすのではなく、筋肉に適度な刺激を与えて、今ある筋肉をできるだけ維持していくことが大切です。
といっても、いきなりジムに通ったり、毎日ハードな筋トレをしたりする必要はありません。
例えば、
- いつもより少し多く歩く
- エレベーターではなく階段を使う
- 歯磨きをしながらかかとの上げ下げをする
- 1日数回でもスクワットをする
そんな小さな運動でも、何もしないよりずっといい。
さらに、ヨガやピラティス、ストレッチなどで姿勢や柔軟性を整えることも、年齢とともに変化するカラダと付き合っていく方法の一つです。
大切なのは、短期間で体重を落とすことではなく、これから先も自分のカラダを支えてくれる筋肉を育てていくこと。
体重計の数字だけを追いかけるのではなく、ウエストまわりや姿勢、そして服を着たときの感覚にも目を向けてみてください。

【鍼灸師いろはの運動習慣】
私も最近、体重を落とすことより、体を動かして筋肉を落とさないことを意識するようになりました。
朝は白湯を飲んだあと、ストレッチを兼ねた軽いヨガとラジオ体操。
夕方はエアロバイクを20分ほど漕いで、最近はセラバンド(トレーニング用のゴムバンド)を使った軽い筋トレも始めました。
どれもハードな運動ではありません。
毎日完璧にこなすことよりも、「今日は少し体を動かそう」と思ったときに続けられるものを選ぶようにしています。
目標は体重計の数字を減らすことではなく、筋肉をできるだけ維持しながら、これからも軽やかに動けるカラダをつくること。
そして当面の目標はもちろん、
春に履いていたあのデニムを、もう一度すっきり履くことです(笑)。
東洋医学では更年期の体型変化をどう見る?
ここまで、女性ホルモンや筋肉量、食事、運動などから更年期の体型変化について見てきました。
では、東洋医学ではどのように考えるのでしょうか。
東洋医学では、40代・50代は年齢とともに「腎(じん)」の働きが少しずつ変化していく時期と考えます。
さらに、食べたものからカラダに必要な気血を作り、水分代謝にも関わる「脾(ひ)」の働きが弱ると、むくみや重だるさ、お腹まわりのもたつきなどにもつながると考えられています。
つまり、東洋医学では「太ったから食べる量を減らす」というよりも、今のカラダがきちんと食べ物を消化・吸収し、巡らせることができているかという視点からも見ていきます。
年齢とともにカラダが変わるのは自然なこと。
だからこそ、若い頃と同じ方法で無理に体重を落とそうとするのではなく、今の自分に合った食事や運動、休養を取り入れながら整えていくことも大切です。

食べ過ぎて胃が重いときや、反対に食欲がなくて十分に食べられないときは「足三里」がおすすめ。
膝のお皿の外側のくぼみから指4本分ほど下にある、脾胃を整える代表的なツボです。
「痩せるツボ」というより、きちんと食べて動けるカラダを支えるツボとして覚えておいてくださいね。
最後に
春には難なく履けていたデニムが、夏にはきつくなっていた私。
最初は「ゆったりした服ばかり着ていたから?」なんて思いましたが(笑)、調べてみると、40代・50代の体型変化には女性ホルモンや筋肉量、脂肪のつき方など、さまざまな変化が関係していることがわかりました。
だから、体重計の数字だけを見て食事を減らすのではなく、きちんと食べて、動いて、筋肉を守る。
これからのカラダには、そんな付き合い方のほうが合っているのかもしれません。
私もしばらく続けてみます。
目標は、体重を何kgにすることではなく、春に履いていたあのデニムを、また気持ちよく履くこと。
さて、秋にはどうなっているでしょうか(笑)。
未来のカラダは、今日の小さな積み重ねから。
一緒に、無理なく整えていきましょう。

