日々、患者さんの鍼灸治療をしていると、こういう声が聞かれることが多いんです。
「最近、階段の上り下りがつらい」
「夜中に何度もトイレで目が覚める」
「白髪が急に増えた気がする」
こういうお話を聞くと、私は先ず、「腎(じん)」が弱っている状態ではないだろうか?と考えます。
腎の力が弱ることを「腎虚(じんきょ)」と言います。
腎虚という状態のとき、どんなサインが出てくるか、先ずは次のチェックリストで、自分の体調をチェックしてみてください。
こんな症状ありませんか?
- 腰から下がだるく、力が入りにくい
- 耳鳴りがする、聞こえが悪くなった気がする
- 白髪や抜け毛が増えた
- 物忘れが増えた
- 夜中にトイレで目が覚めることが増えた
- 疲れやすく、休んでも回復しない
- 骨や歯が弱くなった気がする
いくつ当てはまりましたか?
東洋医学では、こうした7つの変化は「腎」が弱ってきたときにみられるサインとして考えられています。

もちろん、腎虚以外の原因でなることもあります。あくまで目安の一つです。
この「腎」の不足とはどういう状態なのか?
東洋医学では次のように考えています。
腎のはたらきとは?
腎の力が弱ると、カラダの衰えとして、様々なサインが現れると言われています。
まずは、はたらきを見ていきましょう。
腎には主に3つの働きがあります。
①成長・発育・生殖を司る力
腎には生まれ持った「精(せい)」というエネルギーが蓄えられていて、これが、成長や発育、老化のスピードを決めると考えられています。精が充実していると若々しさが保たれ、減っていると老化のサインが現れてきます。
②骨・髄・脳を養う力
腎は骨や骨髄、そして脳とも深く関わっています。腎の力が弱ると、骨や歯がもろくなったり、物忘れが増えたりすることがあります。
③水分代謝を調整する力
腎は、カラダの水分バランスを整える働きも担っています。腎が弱ると、この調整がうまくいかず、夜間の頻尿やむくみとして現れることがあります。

臨床でも、腎が弱っているなと感じる方の多くは、足がだるいという方が多いですし、靴下のゴムの跡形が足首についている方も見かけますよ。
なぜ腎虚になるの?
では、なぜ腎虚になるのでしょうか?
一番の原因は「加齢」。
東洋医学では、腎に蓄えられた「精(生きるチカラ)」は、生まれた時が一番充実していると考えます。それが、成長しながら少しずつ減っていき、この「精」が尽きると人生が終わると考えられています。

だから、誰もが歳を重ねると、多かれ少なかれ腎虚になっていくんです。
女性の場合、この腎の衰えが特に感じやすくなるのが更年期。
東洋医学でも、先ほどの①のはたらきのように、生殖機能に変化が出てくると考えらていて、実は西洋医学のホルモンの話と、根っこでつながっているんです。
加齢以外にも、腎を傷めやすい原因がいくつかあります。
心当たりがある方は、まず休息をしっかり取ることから見直してみると良いと思います。

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今日からできるセルフケア
腎を補うツボ
①太谿(たいけい)
場所:内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ
腎の力を補う代表的なツボ。冷えやだるさを感じた時に、息を吐きながらじんわり5秒×3セットを目安に押してみてください。

②腎兪(じんゆ)
場所:腰のくびれ付近、背骨中央から指3本分外側。
腎そのものを補ってくれる大切なツボですが、ここは押しにくいので、カイロなどでじんわり温めるのをおすすめします。

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黒い食べ物は、腎を補ってくれると考えられています。
黒豆・黒ごま・黒きくらげ
腎を補う代表的な食材。ごはんに黒ゴマをかけたり、黒豆茶を取り入れたりと、簡単なところから始められます。
山芋
腎のチカラを補い、精を養ってくれる食材。すりおろしてとろろにするのもおすすめです。
腎を補うための経絡ヨガ
合隻(がっせき)のポーズ
足裏を合わせてお膝を左右に倒します。座っても、寝た状態でもOK。
力を入れず、足の重みでじんわり伸ばすイメージ。
辛い方は膝下にクッションを挟んでくださいね。

前屈のポーズ
この前屈の特徴は、綺麗な前屈ポーズでなくて良いことです。
すこし丸い背中くらいでOK。その背中や腰あたりがじんわり伸びているのを感じるポーズです。
腎経と陰陽の関係にある膀胱経を一緒に補うことでバランスをとりましょう。


腎が弱っているときは、「頑張り過ぎない」ことが鉄則です。
「気持ちがいい」「スッキリした」と思える強度を目安に動いてくださいね。
まとめ
腎虚は、生命のエネルギーの根本である「腎」の力が不足している状態。
足腰のだるさ、耳鳴り、白髪、記憶力の低下など、歳を重ねるとともにこのようなサインが現れやすくなります。
誰もが歳を重ねる中で、少しずつ腎は消耗していくものです。だからこそ、無理をし過ぎず、腎をいたわる習慣を持つことが大切です。
ツボや食事で補いつつ、頑張り過ぎない運動も腎を守る助けになります。
無理せず、少しずつ整えていきましょう。
未来のカラダは、毎日の小さな積み重ねから。
